欲しい

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簡単に入手できたお金は逃げ足も速いといいます。 本来なら十万円をとっくのとうに超えているはずでした。 しかし、自分へのご褒美が多いとか理由をつけて散財し金銭感覚も少しずつずれていったようです。 「二十万円なんてハードル上げなければ良かったわ」と悔いました。 なんとか二十万円をそろえて持って行きますと。 今度は五十万円といっきに値段をあげていきました。 行き始めたヨガのコースやスイミングなど、それに子供にも教育費を費やすので家計はあっという間に火の車です。 副業としていた風俗アルバイトも朝、昼、夕方にいくようになりました。 より、いっそう言葉づかいもあらくなり、指名を一本でも多く取るためにアフターサービスでいっぱいで、暇さえあれば勧誘メールや思わせぶりなフリをしました。 この二重人格という役割をわたしにはつかいこなせないようでした。 あるとき、保育園の先生に呼び出されました。 「これ新次郎が描いた家族の絵ですよ」 パパと新次郎は笑っている顔でしたが、横の怪獣みたいのが口から火を噴いています。 「これはママだ」と 「新次郎君いうんですよ」と保育園の加奈子先生はいった。 わたし、ショックでした。
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