欲しい

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中にはいり、光景は以前と変わっていません。 ただし、あの黄金のコブラ像、黄金の獅子像、仏像はありませんでした。 しばしの間、店内を散策していると、あの偏屈で頑固そうなおじいさんイスに座っていました。 なにやら古ぼけた本をよんでいます。 話しを聞くと、ヤフーオークションに出して百万円で入札してもらったといっています。 「あの三体の像はな、もうないんじゃ」 どうやら、桃沼さんも百万円も出せないのであきらめたようです。 最近、ダンナが東京都池袋雑司ヶ谷にある鬼子母神(子授かり神社)に行こうといいだしました。 「子どもが欲しいんだ」とダンナはいいました。 しばらく関係がダンナとはなかったのですが、尼好きという異常な性癖で瀬戸内寂聴好みのダンナは異様に興奮しだし毎日のように体を重ねることが増えてきました。 「こどもが欲しい」といいだすようになりました。 保育園のお絵かきの時間でも、子供がヘンナ絵を描いたというので加奈子先生によびだされました。みると、大きなソーセジをピンク色の大蛤が食べている絵でした。 短大を卒業したばかりで今年で二十一歳になる加奈子先生は顔を真っ赤にしながら、「夫婦仲がいいのは大変結構ですが、お子さんが起きているときは自重したほうがよろしいのでは」と提案されました。
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