嫉妬

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 豊川杏は22歳のOL。性格は暗くて不美人。男性にはモテない。それに引き換え、同期生の松田芽以は今どきのイケイケギャル。当然取り巻く男性も多かった。この芽以とは、幼稚園の時、一緒だった。可愛くて男の子からも人気があった。杏は、完全引き立て役。しかし、杏にも恋する男の子がいた。幼稚園の中でピカ一のイケメン。健二。杏は、声を掛けず、影で見ているだけだった。ある日のこと、幼稚園の学芸会のキャストを決める時、王子さま役には健二が選ばれた。お姫さま役は、中々決まらなかった。杏は、演劇には興味あるため、お姫さま役をやりたかった。挙手する杏を無視するように、会は進められた。 健二は、発言した。 「お姫さま役は、芽以ちゃんがいいです」 先生はこういった。 「杏ちゃんが手を挙げてました。先生は杏ちゃんがいいなあ」 健二は、反論した。 「杏はブスだからお姫さま役は、似合いません!だから、僕は芽以ちゃんがいいです」 芽以は当然という顔をした。 「健二くん、それは女の子に対して言っちゃいけないことなのよ!謝りなさい」 健二は言うことを聞かなかった。ショックを受けた杏はその場を離れた。その後で、芽以がお姫さまを演じた。  それから、十数年、芽以と杏は、会社の面接で再会した。その後、二人とも、合格し、入社した。  やはり、芽以は男子社員に人気があった。特に、上司の村田は、芽以がお気に入り。仕事は芽以に任せ、杏には回してくれなかった。それをずっとみていた課長の細川美奈子は、杏に声を掛けた。 「豊川さん、私のプロジェクトチームに入ってくれる?」 「私がですか?」 「そうよ、私は面接の時から、あなたに一目を置いていたわ、あなたの働きぶりに感動していたのよ、ぜひ、今度は私の下に就いて一層頑張って欲しいわ」  それを聞いていた芽以は、細川に意見した。 「杏は、プロジェクトチームには、ふさわしくありません!私ならきっと戦力になれると思います。」 「何勘違いしているの?あなたは顔が綺麗だけど、仕事はいい加減だし、男子社員には、女を使っているし、私はそんな人と仕事したくないの!今の仕事をしていなさい」 しばらくして、芽以は、倉庫に異動になり、退職したという。杏は、プロジェクトに成功し、リーダーを任された。 部下も増え、慕われるリーダーに成長していった。 「先輩、今日、飲みに行きましょうよ」 「わかった! あなたのおごりね」 杏の心は、晴れやかだった。
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