第13章:祖先の意思

4/4
前へ
/66ページ
次へ
「それじゃ、御嬢さんがあまりに可愛そうじゃないですか? しっかりしなくちゃ」 麻里は年下の弟を叱る様に達也を励まし 「もう直ぐクリスマスね、約束したクリスマスの贈り物御嬢さんに贈ってあげなくちゃ、スペインからのパパの贈り物……喜ぶわよ、きっと!」 麻里は最後の言葉を強調して、達也にそう念を押した。 「判った。必ず贈るよ」  達也は麻里の言葉に促される様に腰を上げ、風の流れる城壁に沿って歩き出した。 アラブ時代の宝物殿を見てまわり、宮殿を後にしたのは、白い石塁を金色に夕陽が染める頃だった。
/66ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加