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「それじゃ、御嬢さんがあまりに可愛そうじゃないですか? しっかりしなくちゃ」
麻里は年下の弟を叱る様に達也を励まし
「もう直ぐクリスマスね、約束したクリスマスの贈り物御嬢さんに贈ってあげなくちゃ、スペインからのパパの贈り物……喜ぶわよ、きっと!」
麻里は最後の言葉を強調して、達也にそう念を押した。
「判った。必ず贈るよ」
達也は麻里の言葉に促される様に腰を上げ、風の流れる城壁に沿って歩き出した。
アラブ時代の宝物殿を見てまわり、宮殿を後にしたのは、白い石塁を金色に夕陽が染める頃だった。
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