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「冷たい……」
逃げる様に顔を逸らした麻里が両手で達也を捉まえて、今度は唇に熱いベーソを交してくる。熱い血が滾り、二人は互いの唇を貪る様に求め合い激しく抱き合った。抱き合った腕から、合わさった胸から、腹から互いの熱い体温が感じられ、求めれば麻里は全てを許してくれる気配があったが、達也は敢えて求めなかった。
熱情に浮かされて徒に恋はすまじと、堅く心に誓っていたからである。それがせめてもの、麻里への大人の心使いだった。
「明日は早いぞ、今夜はゆっくりと休んで疲れを取るのだ」
最後のワインを注ぎ分けて、二人は一気にそれを飲み干した。
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