第2章:憧れのエスパニア

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 日本に帰るのも気が進まなかった。別れた妻や可愛い娘の居る日本で、娘に会いたい気持ちを抑えて暮すのは出来そうに無かった。今更、肉親や友人に生き恥を曝すのも避けたかった。 《ヨーロッパに行こう!》  あそこなら知る人もなく、たとえ行き倒れになっても構わない気がした。昔南米で暮した達也には、住むならスペインかポルトガル以外には考えられなかった。昔覚えた言葉だから、二十数年経った今でも、苦もなく飛び出て来る言霊に運命を賭けて、スペインに行き先を定めた。
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