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『開けてみて。気にいるといいな……。』
義弥さんは少し不安そうだった。
本当は家に帰ってから開けたかった。
リボンも包装紙もそのままの形で残したかったから……。
俺は出来るだけ丁寧に包装紙を外した。
箱を開けると万年筆が入っていた。
「いいんですか?いただいて……」
『万年筆なんておじさんくさかったかな?』
「そうじゃなくて!……高そうだなって……」
値段の事を口にするなんてはしたないと思ったけど
高校を卒業したばかりの俺には手に入れるコトが出来ない代物だってことくらいわかったから……。
『俺とお揃い。
俺のはもう10年くらい使ってるけど、使いやすいしメンテナンスもちゃんとしてもらえるし……。
ダメだった?』
綺麗な顔を傾けて俺の顔を覗き込む。
義弥さんはヒトタラシだなぁと思いながら
自分の顔が火照るのが分かった。
「遠慮なくいただきますね。
ありがとうございます。」
義弥さんが頼んでくれたのは
イタリアンのコース。
ピザとかパスタしか知らない俺には
料理名を言われてもピンとこなかったけど
とっても美味しかった。
義弥さんとの会話は尽きる事なく
このまま時間が止まればいいと思うくらいに……。
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