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「藤木君の好きなところ、教えてよ」
話していないと、ろくなことを考えないような気がして、ベスちゃんに話を振ったら、藤木君が恥ずかしそうな顔をする。
可愛い。
アフロ、可愛い。
藤木君以外のアフロに出会っても藤木君を思い出しそう。
もしかすると、アフロに恋、できるかも。
多分、ない。
「フォー! それ、聞いちゃいますか!? 言ってもいい?」
ベスちゃんは藤木君に同意を求めてる。
藤木君は自分のどこをベスちゃんが好きなのか、知ってるってことか。
熱い!
一瞬、怯んだような顔をした藤木君が神妙な顔で頷いた。
聞いてはいけないことを聞いてしまったみたいで悪いことをしたなとドキドキして、やっぱり言わなくていいと言おうとしたところで私よりも先にベスちゃんが立ち上がって口を開いた。
「大きな声では言えないことなんですけどっ!!!」
すでに大きな声で言ってると思って、私が焦る。
藤木君はもっと焦ったみたいで、ガタンっと立ち上がってベスちゃんの口を塞ごうと手を伸ばした。
「バキューンの相性がいいところが大好きでっす!!!」
藤木君、間に合わず。
ベスちゃんは自分で言った言葉にウケている。
「コージー、焦りすぎだしっ!!! 好きなところはいっぱいあるけど、人に聞かれたら答える模範解答ぐらい用意してるべっ!!!」
バキューン……って。
苦笑した。
模範解答がバキューン……。
藤木君が、恥ずかしそうに、それでもホッとした顔でおとなしく座ったから私も安心した。
世の中、どこに地雷が落ちているのか、分からない。
この後、イッシーちゃんがベスちゃんにバキューンの相性について詳しく聞き出して、ついついお酒を飲みすぎてしまったのはご愛敬だ。
最初に懸念していたアウェー感を感じ続けることなく、楽しく忘年会は終わった。
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