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妹家族がやってきた年末年始は、笑顔が絶えずに過ぎていく。
妹の夫は、みんなにヒロ君と呼ばれている。
紳士服店に勤めていて、洋服が大好きなオシャレさんだ。
洋服を格好良く着こなすために、細身の体に余計な肉がつかないように体型を維持しているけれども、ただガリガリなだけではダメらしく、私は知らないけれども妹に言わせると脱ぐと凄いらしい。
そして、妹に言わせると
「ヒロ君が格好良すぎて見ているだけで幸せなんだよね。なんか手伝ってよって文句を言いたいって思ってもヒロ君を見ると格好良くて文句を言う気持ちが消える」
のだそうだ。
でも、私は知っている。
ヒロ君だって妹のことが好き過ぎて頭がおかしい。
「葉月ってどうしてあんなに可愛いんだろう。息を吸ってるだけで可愛いと思いません?」
真顔で聞かれたときには、なんて返事をすればいいのか分からずに
「息を吐いてる姿もゲロを吐いてる姿も可愛いの?」
と聞いてやった。
「もちろんですよ。誰にも触らせませんよ、葉月のゲロ」
と言ってのけた。
妹もおかしなやつだと思っていたけど、ヒロ君はもっとおかしい。
だけど、そのとき、自問自答した。
ゲロを許せる相手がいたら、それが本当の愛なのだろう、と。
愛は、深い。
「おねーちゃん、新年会って何を食べるの?」
首が座ったばかりの小さな姪っ子を抱いて、その赤ん坊の柔らかさと臭いを堪能していたら、妹がやってきた。
「焼肉。桜町商店街の隅の方にある焼き肉屋の割引券があるんだってさ。高校のときの同級生がクリスマスに桜町市のお見合いパーティーに参加して、そこでもらったらしいよ。今月中が使用期限らしくて、お見合いパーティーでカップリングに成功した人とその友達が来るとかなんとかって。まぁ、焼肉が食べられたら私はそれでいいんだけどさ」
焼肉新年会だとばかり思っていたから、上記のような流れでその新年会に男性もいると知ったのはつい昨日の夜だ。
友人のミッチーから少しはオシャレをして来いと電話で言われて、焼肉新年会の全貌が明らかになった次第だ。
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