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私とレオ君は、その後も変態発言を繰り返しつつも会話を楽しみ、その度にオーディエンスの課長がゴホッっとリアクションをして盗み聞きアピールをしてきた。
私とレオ君が課長たちよりも先に食べ終わって、帰ろうと席を立ったときに我々の会話に勝手に咽て参加してきていた課長とやらがどんな顔なのか確かめてやろうとチラッと見てみたら、アチラもこっちを見てきた。
「……」
思ったよりも普通の人だ。
「……」
多分、課長も私を見て同じ感想を抱いたのだろう。
微妙なアイコンタクトをとってしまって気まずいと思ったら、レオ君が私の腰にグイっと逞しい腕をまわして引き寄せて、世にも恐ろしい顔で課長を睨み付けた。
ちびっ子だったら、チビッちゃうよと思うような凶悪な顔だったのに、変態課長は嬉しそうに笑って連れの女性の方を向いた。
その間、たったの数秒だったはず。
「変態カップルの顔を拝んでやった!」
小さな声で言ったつもりの言葉が、私の耳にしっかりと届いておりますが?
「課長の方が変態だと思われてないことを願うばかりですね。私が一番普通です」
課長の連れの女性の言葉に、いやいや、類は友を呼ぶでしょ。
なんて頭の中で考えていたら、レオ君に引っ張られて気がつけばお店の外にいた。
「やっぱ、スーツ姿が好きなの?」
お店の前でグイっと顔を私の方に寄せたレオ君に囁かれて
「プッ」
と吹き出してしまった。
それから、レオ君と手を繋いで歩きながら、食事の間中、私とレオ君の会話に噴いたり咽たりしながら課長がオーディエンスになっていたことを告げたら
「ちぃちゃんの声が可愛くて聞き耳を立てていたのかもしれないな。今夜のおかずにされてるかもしれない。こんなことなら、あのとき、ヤッておけば良かった」
と、その顔で言ったら冗談でなくなるからと思うような凶悪な顔面で物騒このうえない発言をして笑わせてくれた。
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