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「チカさんは、チャーハンをおかずに白飯、イケちゃうんですよっ、フォー!」
私と山田さんが魅惑のご飯トークをしていたら、ベスちゃんが戻ってきた。
けっこう早い。
そして、ベスちゃんの一言は、何の援護射撃にもならずに山田さんを笑わせて終了した。
「食い過ぎだろ、白飯!」
そんな指摘をされても、好きなものは好きなのだから放っておいて欲しい。
「小鳥遊、お前も何か言ってやれよ、カトビーが炭水化物の摂りすぎでくたばったら困るだろ」
私がご飯を食べつつ、ビールを飲んで、お鍋の中から白菜なんぞを摘まんで取り皿に入れてふぅふぅっとやっているうちに、山田さんは小鳥遊さんに話しかけている。
「くたばらないと思います。チカちゃん、凄く健康そうだし、好き嫌いなくまんべんなくいろいろ食べてるから。確かにご飯の量は多いのかもしれないけど、下手したら僕よりも健康的だし」
さすが小鳥遊さん。
小鳥遊さんがフリーだったら惚れるかもしれないなぁ……一瞬、頭に浮かんだ気持ちを自分で打ち消した。
ないか、と。
小鳥遊さんが愛妻家の既婚者であるという点がなかったとしても、自分が恋愛するのを想像できない。
「チカさん、聞いてます?」
「あっ、ごめん、聞いてなかった。白菜が美味しいのが悪いんだよ。で、なんだった?」
ベスちゃんに何かを言われていたらしいことに気が付いて、顔を向けると苦笑いされた。
肩下あたりまで伸びた髪の毛がサラッと揺れて、苦笑する様子を見つつ、最近、ベスちゃんキレイになったなぁと思ったりする。
「明日、夕方から忘年会をしたいんです。参加してください」
「え? 忘年会なら、今してるよね? わざわざ名古屋まで休みの日に出てくるなんてイヤだよ」
「美味しいリゾット、ありますよ」
「行く」
「さすがチカさん! そうでなくっちゃ!」
しまった、つい、条件反射で行くと言ってしまった。
満面の笑みを浮かべるベスちゃんにひっかかったと気が付いたときには返事をしてしまった後だった。
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