レオ君と私とシンちゃん

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「今日、聞いてみたんだよ。娯楽施設に行くかって」 私が口を開いたのに、内容が内容だからなのかシンちゃんの顔が固まった。 「はぁっ? バカなの? 行ったの?」 「拳骨もらった。レオ君は私のこと、そういう目で見れないのかもね」 「……いや、それは絶対に違う。確実に違う。いろいろ違い過ぎてどこから訂正すればいいのか分からないぐらい違う。そして思った通りにチカちゃんはおバカさんで、こじれてる」 違うを連呼するシンちゃんは溜息を吐いて、可哀想な人を見るような目でこっちを見てくる。 「こういうの、外野がとやかくいう問題じゃないって分かってるから、あんまり言いたくないけど」 さんざん言いまくってる。 さっきから話しているのはほぼシンちゃんだと気が付いていないようだ。 「小橋さん、いい会社に勤めてるし将来安泰だし、現金でポンっと車を買えるぐらいの蓄えあるし、本当におススメなんだよね」 車をレオ君に売りつけるだけでは飽き足らず、私にレオ君をススメている。 根っからの営業マンめ。 「チカちゃんにこんないい人が現れることなんて金輪際ないと思うし」 酷い。 営業マンとしてどうなのだ。 お客様は神様だろう。 私に喧嘩を売っているのか。 「しかも、チカちゃんのこと絶対に好きだし、チカちゃんだって小橋さんのこと好きだし。頼むから、チカちゃん、変なことしないでおとなしくしてな」 お か し い。 この流れでは、シンちゃんは私が変なことをしでかしてしまうと思っているみたいだ。 「大人しくしてるじゃん。今日も車屋さんでおとなしく雑誌を読んでいた」 「年相応のファッション誌とかも置いてあったはずなのに、なんでアレをチョイスしたんだよ!」 ……それはシンちゃんの前で年相応のファッション誌を読んでいたら、チカちゃんでもそういうのを読むんだねとかって鼻で笑ってバカにされそうだと思ったからだし、そういうやり取りをレオ君に見られるのは恥ずかしいと思ったからなのに……。 「チカちゃん、普通に過ごしてたらいいから。チカちゃんは動かない方が絶対にいいから!」 「あぁもう。妹が片付いたと思ったら、すっげー手のかかるヤツがこんなところに転がっていたとか、なんだよ、これ」 頼んでない。 おせっかい。 言いたい言葉はたくさんあるけど、心配してくれていることが分かるから、何も言わずにシンちゃんの言葉に納得したふりをしておいた。
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