第6章

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 もがくように舌が絡み合い、濡れた肌の熱さを頬に感じて、遠矢の中の確かな愛情が、隼人に向かって大輪の花のように開いた。 「はや、と……抱いて、くれ……!」  一瞬唇が離れるや、求めずにはいられなかった。隼人の力強い腕に抱き締められた体は、隼人に満たされる瞬間を求めて熱を帯びていた。  いまだ浮かぶ涙にきらめく黒い瞳に欲情の火が灯る。隼人は布団の上に遠矢の体を押し倒した。その強引な仕種にさえ胸が高鳴る。息が乱れる。  隼人が着ていたパーカーをTシャツごと脱ぎ捨てる。見事な筋肉質の上半身があらわになって、遠矢の目を釘付けにする。若々しい肉体への渇望が、遠矢の中心に愛欲の血をそそぎ込む。  隼人の手によってむしり取るようにスウェットとTシャツが脱がされる。筋張った体を見る隼人の目から涙は消え、飢えた獣の貪欲さは視線でさえ遠矢を犯そうとしている。  スウェットのズボンを下着ごとはぎ取られた。 「あっ……!」  思わず声が漏れた。肌を柔らかい布地が擦るのさえ愛撫と変わらない。こぼれ出た遠矢のそれは、久々の行為への期待にすでにはち切れんばかりだ。  隼人ももどかしげにがちゃがちゃとバックルを鳴らしてジーンズを下ろした。同じようにすでに屹立しているそれを目にして、遠矢は知らず息を飲む。隼人の体の美しさに眩暈がするような気分。こんなにも力強く、生命力にあふれた存在に自分が求められていることへの感謝の念が沸き起こる。 「隼人……っ!」  伸ばした両腕の中に、隼人の大きな体が倒れ込んでくる。再び口付けしながら互いの体を手のひらで、腕で、脚でまさぐり、擦り合わせ、絡み付かせる。
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