第6章

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 泣いた直後だからか、興奮からか、隼人の体は熱い。ひんやりとした室内の空気さえ感じる暇もないほど、その体温に包まれる。粘る唾液を舌に絡めながら、絡まるのは互いの熱もだった。ふたりを隔てるものは皮膚さえ取り除かれ、抱き合うだけでひとつになる。  下腹に挟まれた猛りが擦れ合って、すでに高ぶった官能を際限なく押し上げる。尻の小さな膨らみをつかみ上げていた隼人の右手の指が、そのさらに奥へと侵入した。自分でもそこがひくひくと動いているのを感じていた遠矢は、隼人の指がその物欲しげな窄まりを探り当てるのにたまらなく興奮した。軽く撫でられ、びくんと体が震える。 「あ……あっ!」 「もう……とろとろだ……」  情欲にとろけ切った目で隼人が囁く。腫れぼったい瞼は逆に、涙を忘れるほど遠矢を欲していることを意識させる。 「そこに……欲しい、隼人……!」  すでに上擦った声で遠矢は懇願する。 「早く、入れて……おまえ、のを」  自ら脚を大きく開いた。熱く脈打つ屹立と双球から繋がる体の奥まった場所が、耐え難いほどに疼いていた。身に染み着いているはずの平静な呼吸も今ばかりはどこかへ追いやられる。胸が激しく上下し、その乱れた息に合わせて下腹がどきんどきんと拍動する。  隼人が手のひらに受けた唾を自身の先端に塗り付ける。その間さえももどかしい。痛もうがかまいはしない。隼人から与えられるものなら、すべて愛しいに決まっていた。
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