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塾に着くと、既に鍵が開いていた。もう先生が来ているのかもしれない。ゆっくり深呼吸をしてから、教員室の扉をノックすると、鉄の扉が尖ったコツコツという音を立てた。
「佐伯花名です」
あれ、返事がない。鍵をかけ忘れたのかな。
「先生?」
ドアノブに手をかけると、少し遅れて声が聞こえた。
「ん……、入っていいよ」
そっと扉を開けると、早川先生がソファから起き上がるところだった。
「起こしてしまってごめんなさい」
欠伸をしながら、早川先生はソファの隣をポンポンと叩く。
座れということなんだろうか。
「早くおいで」
私は早川先生の隣に、少し離れて腰掛けた。
「なんか佐伯って猫みたいだね」
「え、猫ですか」
「ほら、毛を逆立てて警戒してるみたい。何にもしないから安心していいよ」
「……はい」
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