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こうなってくると、さすがに日常生活に支障をきたし、どうにかしてこの現象を解決しなければときみは思った。思ったからといって、このようなことに巻き込まれた経験など今まで一度もないきみは、どう対処すればいいのか分からない。きみの周辺を(しめ)回っているぼくを、どうにかすればいいのだが、しかし、どうすればいい? 良い案は一向に浮かぶことなく、着々と(しめ)られながらの苦肉の策、きみはぼくを罠にはめることにしたのだ。
きみが考えた作戦はこうだ。キャップを緩く(しめ)たペットボトルを机の上に置き、押入れのなかに隠れながら、ぼくが(しめ)ている現場を取り押さえる、という簡単なものだ。
きみはさっそく捕獲用のロープをホームセンターで買い、帰宅してすぐにペットボトルを設置して押入れに隠れた。ぐっと息をひそめ、わずかに開けた襖の隙間から三〇分ほど様子を観察していたのだが、突然、襖がガタガタと揺れ出したかと思うと、すっと(しめ)られてしまったのだ。
してやられた、ときみは慌てて押入れから出てペットボトルを確認する。緩めておいたふたは、開封前よりもしっかり、(しめ)られていた。
まんまと出し抜かれたきみは悔しくなり、今度はペットボトルに細工をした。キャップのねじ山を潰し、しっかりとはまらないようにしたのだ。これならば、どんなにキャップを回そうとも、(しめ)られることなく、くるくると空回りを続ける。実際に試験を行い、その出来具合を十分に確認してからペットボトルを置き、きみは再び押入れに忍び込んだ。
今回はあらかじめ襖を(しめ)ておき、きみは手に持ったロープを握り、襖の先へと耳を澄ませた。
しばらくして、かちゃかちゃと、小さな物音が聞こえはじめる。ペットボトルのキャップがゆっくりと回転をはじめた音だろう。しかし、細工を施しているため、いつまでも(しめ)られず、くるくる、くるくると空転しているようだった。
今だっ! と、きみは勇んで押入れから飛び出す。
「神妙にしろっ!」
そう叫ぶと、ペットボトルを(しめ)ようとしていたぼくが驚愕して動きを止め、その隙にきみは自慢の脚力で素早く接近して、ロープで縛り上げて身動きを封じた。
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