6人が本棚に入れています
本棚に追加
/14ページ
ぼくが初めてあの子に出会ったのは、春が終わりかけ、新緑が輝きはじめた頃のことだった。
社会人になりたてのぼくは、なかなか慣れない仕事をなんとかこなし、くたくたになって家に直行する。
家と会社をなぞるだけの、つまらない毎日を過ごしていた。
実家を離れて独り暮らしのぼくには、家に帰っても迎えてくれる人もない。
仕事ばかりの毎日では他で友達ができるわけでもなく、かといって会社の同僚ともまだそこまで親しくなれていない。
休日も、家にこもってテレビを見ていることが多かった。
そんな日々を送っていたある日、仕事帰りに気まぐれに立ち寄った店で、ぼくはあの子に出会ったんだ。
最初のコメントを投稿しよう!