ぼくがあの子と暮らすまでの3ヶ月

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その時だった。 すれ違いざま、窓越しに店の子と目が合ったのだ。 瞬間、吸い込まれるように足が止まる。 店内にある小部屋の窓の向こう。 くりっとした、大きな黒い瞳。 思わず触れたくなるような、ふんわりした茶色のショート。 そしてなにより、思わずこちらまで微笑んでしまうような、とびきりの笑顔がそこにはあった。 それは今まで見たどんな笑顔よりも、可愛くて無邪気で、泣き出しそうなほど暖かかった。 この時跳ねた心臓の感覚は、真冬に一輪先続ける花のように、いつまでも鮮やかにぼくの中に残っている。 元来引っ込み思案な方だが、今までの自分など忘れてしまったかのように、ぼくはすぐさま、彼女に話しかけようとした。 が、一歩遅かった。他のお客さんが彼女に話しかけ、彼女はそちらの対応へと移ってしまったのだ。 ぼくはガッカリし、来たときとは真逆の重い足取りで、店をあとにした。
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