3人が本棚に入れています
本棚に追加
/16ページ
「はぁ…」
大の字になって空をぼんやりと眺める。
相も変わらず綺麗に澄んだ空だなぁ…
俺はこの場所が好きだった。
少し自然から離れた町だが、学校から少し歩いた場所に山がある。
階段などなく、狭くて足場の悪い道を歩かなければ頂上にたどり着けないため人気がない。
たまに物好きな登山家気取りのじいさんばあさんとすれ違う程度であり、閑古鳥も住み着かないほど廃れた山が俺にとってとても心地がいい。
1人になりたい時になれる場所だった。
山の頂上には大きな木が1本聳え立っているだけで、他に何もない。
俺はその木によっかかって、意味もなく黄昏るのが好きだった。
無駄に流れる時間。
それを肌で感じられるそんな素敵な場所だった。
そう
あのおてんば女と出会う前までは、だ。
最初のコメントを投稿しよう!