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……パチパチパチパチパチパチッ!!
突然の拍手の音に慌てて振り返ると、その場にいた客やオーナー夫婦に従業員すべての人が見ていた。
こんなに注目を浴びてるとは想像もしてなかった。
それは親父さん達も同じで、自分への批判的な圧力にたじろいた。
「ぐっ……馨、帰るぞッ!」
「申し訳ないですが、お二人で帰ってください。父さんの代わりに僕は先輩に謝罪してきます」
淡々と話す顔に表情は無く、馨さんが今、何を思ってるのか分からない。
やってしまったことは仕方ないが、馨さんの親を公衆の面前で恥をかかすつもりはなかった
ただ、俺の前でも泉さんを侮辱するのが許せなかったのだ。
タイミング良く『Parantua』の奥さんが近付き「タクシーが着きました」と告げた。
事前にタクシーを呼んでもらったようだった。
「ありがとう、たまちゃん。ほら父さん行くよ」
見送ってくる。と四人で出ていく後ろ姿を"このままでいいのか"と自問した。
いいわけない。これじゃあただ怒らせただけじゃないか。何の解決もしていない。
「何、呆けてんだよ」
クツクツ笑いながら首に回された腕に「グエッ」となり現実に戻された。
河合課長がその場に残った俺を迎えにきたのだ。
「湊、お前よく云ったな!戻って飲み直そうぜ」
「スミマセン河合課長、ちょっと行ってきますッ!」
「おいっ?!」
そうだよ、中途半端に関わるなら最初っから首突っ込むなって話だ。
俺らしくきっちり最後まで突っ込んでやる!
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