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河合課長とは信号の所で別れ、いつもの蕎麦屋へと足を進めた
♪~♪~♪~
着信が聞こえ画面を確認すると馨さんからだった。
いつもはLINEで連絡が来るのに、何か急用かもしれない。と直ぐ様耳に当てる。
「もしもし、馨さん。何かあった?」
『湊くん今、大丈夫?』
「あぁ。昼飯食いに外出たところ」
『ねぇ、今日の残業って遅くなるの?』
今朝、残業になるからと、馨さんに夕飯を頼んであった。
「あ~……遅くても7時には終わると思う」
『そぅ。あのね、アタシ今出先なんだけど、そのまま店に行く事にしたからお夕飯作れなくなったのよ。だからミヤと二人で食事に行ったらどうかなぁ~と思って。どぉ?』
何事か。と思ったらそんな事か。
夕飯を頼んだばかりに気を使わせてしまったと申し訳無く思った。
「俺は泉さんが良ければ構わないけど」
『そう!良かったぁ~。ミヤには言ってあるから後であの子の連絡先送るわ。じゃあ食事の事はふたりで決めてね』
そう云って通話は終了したが、馨さんの声は若干お疲れのようだった。
大丈夫か?と心配になったが、たしか二人とも明日、明後日が休みだ。
今夜は週の最後の出勤ともなれば疲れも多少は出るか。と思い直した
それにしても、泉さんと食事かぁ……泉さんは7時半まで仕事のはずだから卯月まで迎えに行こう。
何を食いに行くかな……彼女、好き嫌いないし、洒落た店の方がいいか?いや、先に飯の旨い店が良いよな─────
いつもの着ぐるみ姿ではなく、着物姿で幸せそうに頬張る泉さんを想像し、ひとりほくそ笑み胸が躍った。
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