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「ハイ。焼けたぞ」
「ありがとー♪」
「飲み物頼もうか?」
「うん、梅酒ソーダ」
「野菜も食えよ」
「はぁい、わかったぁ」
「焼き加減が丁度いいから美味しいよ♪」
「そうか?次ぎは何がいい?」
「カルビ!」
美味しそうに食べる泉さんは見ていて気持ちいい。そんな彼女に釣られて俺も酒と箸が進む。
「ぷふっ!」
突然クスクス笑い出したから驚いた。
「ご、ごめんね。やっとわかったよぉ♪馨ちゃんが言ってた『オカン』っておかあさんの事だったんだぁ!」
「な、何を今さら……」
突然の事に、訝しげに睨んだ俺にひょいと肩を上げ一旦は笑いを納めた。
「だってぇ~、『オカン』なんて言うからわからなかったんだもん。
……でもさ、ホントおかあさんみたいだよ金沢さん。フフッ。ねぇママ、お肉焼いて♪」
「誰が『ママ』だッ!」
「アハハハッ」
また余計な世話を焼いてたようだ。
今までコレで険悪な空気にしていたとわかってるのに、泉さんは嫌な顔もしなかったから失念していた。
そればかりか笑い飛ばすなんて……
「……怒らないのか?」
「何が?」
「俺がこーゆー事するの」
「?金沢さんに色々気遣ってもらえて有り難いなぁ~とは思うよ」
それが何か?とでも云いたげな目をして「お肉焼いて」とおねだりする泉さんを無性に抱き締めたくなった。
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