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「やっぱり君たちは付き合ってたのかな?」
不思議そうな顔つきが、無理矢理口角を上げた笑顔に、「ひっ!」と焦り出した。
「ま、待って、落ち着いてッ!違うのッ!仮カノ頼まれてるだけッ!」
「かりかの?」
・・・なんじゃソレ・・・
「大介おじさん、今でも疑ってるの。まだ結婚しないから。
それで、毎年抜き打ちチェックしに来るんだけど、その度にここで私がおもてなししなきゃならないの。彼女役として」
「・・・え~と、馨さんの事、女に興味が無いと疑ってるって事か?」
「うん」
確かに以前聞いた親父さんなら、未だに疑っていそうだし、連絡も無しで突然やって来そうだ。
それより何より気になったのは
「おもてなしって……まさか泉さんが料理するのか?」
「え?するよ。私、お料理出来るもん。実家にいた時、お夕飯は私が作ってたし。今はやらないだけ」
何故かショックを受けた顔をした。
そして俺もショックを受けた。
だったら何故やらないんだよ。食ってみてぇじゃんか、その手料理をさっ!
第一この1ヶ月、そんな姿見たことが無いからてっきり出来ないものだとばかり……
「正美おばさんと馨ちゃんは誉めてくれるよ、美味しいって。でも、大介おじさんは昔っから私の事が嫌いだからネチネチ文句ばっかり。だから苦手なんだよねぇ」
泉さんの手料理を食べられるのに文句云うとは。俺が代わりに食べてやりたいっての。
はぁ~……馨さんの話を聞いた時は同情したけど、今は俺が関節技を極めてやりてぇ!
「今は俺も住んでるのに明日はどうするんだ?」
気を取り直しそう聞くと少し困った顔になった
「ん~?あのね、馨ちゃんの先輩が創作料理の店開いたの。そこへ行くんだって」
お料理は楽しみなんだけどなぁ~と呟いた。
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