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今日は全く仕事に身が入らない。
どうしても気になるのだ、今夜の事がモヤモヤ、イライラと。
俺には関係ないとわかってるのに泉さんが彼女役になった理由も聞いたし理解はしたが、ムカつくものはムカつく。
集中出来ずミスが多いし落ち着かない。
不機嫌のまま席を立ち給湯室に行くと先客が。
「お、湊か。……お前さぁ何かあった?いつも以上にひでぇ面してるぜ」
「河合課長……何ですか『ひでぇ面』って」
ムカついてる時に茶化すようなことを云われ、睨み付けてしまった。
「ぶはっ。鏡見てみろよ?そんな般若みたいな面してっから皆ビビってんだよ」
クツクツと喉を鳴らしながら俺の背中に一発張り手する。
「痛ッ!何するんですか!」
強烈な一発に、つい怒鳴ると笑顔から一転、厳しい顔つきになった。
「何に苛ついてるのか知らねぇけど今は仕事中だ。お前気ぃ抜いてんのか?
仕事舐めてんじゃねぇよ」
あ"ぁ?と凄む河合課長の言葉にグッと押し黙る。
普段仕事に対して厳しい事を云ってる自分が、プライベートですらない他人の事で支障をきたすとはなんてみっともない事をしてるんだ。
「……ハイ。すみませんでした」
「おぅ。しっかりしろよ」
素直に反省して下げた頭をワシャワシャと乱された。
「ちょっ、河合課長~!」
「アハハハハッ」
情けない声を出す俺に、悪戯が成功した悪ガキのような笑い声を残し、河合課長は給湯室を出ていった。
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