【其の8】ポヤポヤ覚悟しろ

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その後気持ちを切り替え仕事をこなし、終わった時刻は7時半手前だった。 今頃泉さん達は食事中か そんな事を思ったら又モヤモヤしてきた。 なんか真っ直ぐ帰りたくねぇな…… と顔を上げ目に入った机へと向かった。 「河合課長」 「ん?湊か。どーした」 「今から飲みに行きませんか?」 もて余す感情をアルコールで紛らわしたい俺は、丁度帰り支度をしていた河合課長を誘ってみた。 「・・・珍しいな、湊から誘ってくるなんて。……今日は車か?」 「いえ、電車ですけど」 「じゃあ俺の車で行くか。気になってた店があってな。ソコに付き合え」 ニヤリと笑った課長は荷物を持ち、フロアに残ってる他の部署の人に「お先に」と挨拶をしながらエレベーターへと向かった。 近場じゃないようだ。 どんな場所かわからないが、まだ帰らなくてもいいならどこでもいい 車は海の方向へと進む。 「スミマセン、急に誘って」 「気にすんな、俺的に丁度良かったんだ。2ヶ月ぐらい前に出来た店なんだけど、気になっててさ。嫁を連れて行く前に味見しようかと」 不味い店は連れていきたくねぇじゃん。と奥さんを超溺愛してる河合課長が優しい笑みを浮かべた。 河合課長のこんな顔初めて見た。本当に好きなんだ、奥さんの事。 俺はそこまで好きになった人がいただろうか。と考えたら不意に泉さんのふにゃっとした笑顔が浮かんだ……
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