631人が本棚に入れています
本棚に追加
「旨いな、コレ」
「確かに」
相槌を打ちながら同じカナッペを口にした
スライスしたバゲットに荒く叩いたアジのなめろうとトマトを乗せ、オリーブオイルが掛けてある。
他にネギトロとアボカドや燻製牡蠣とクリームチーズ、サーモンの塩麹漬けがバゲットに乗ってる海鮮カナッペ
「こりゃワインが進むな♪」
和食のつまみがこんなに美味しくお洒落な洋風つまみになるとは。
宅飲みするときにやったら泉さん喜ぶかな……と分析するように味わう。
「がははははっ!」
突然、大きな笑い声が響いた。
「またかよ、うるせぇ親父だな」
河合課長は窓側奥の席を睨み付けた。
話の内容は解らなかったが、その人の大きな声は来た時から響いていてた。酔ってご機嫌なのか音量は徐々に上がってきてる。
「ん……?なぁ、アレ店長じゃね?」
その声で振り返ると……
いた。
来た時は気付かなかった。
否、着物姿を見落とすことは無いからその時は席を立っていたのだろう。
着物姿の泉さんとふたり並んでいるのを見て、忘れていた苛立ちと胸の痛みがぶり返してくる
何を云われてるのか、泉さんは辛そうな笑みを浮かべ、馨さんは不機嫌な顔をしている。
親父さんが苦手だと云っていた。
辛そうなその顔に、今すぐ助けに行きたい。俺が守ってあげたいのに。だがそれは今、仮カレの馨さんの役目。
俺は何も出来ないのが悔しい……
最初のコメントを投稿しよう!