【其の8】ポヤポヤ覚悟しろ

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我慢が出来なかった。 否、出来るわけがない。 泉さんを親父さんの嫌味から守るとおもってた馨さんは、自分の親を止められず、その結果親父さんの暴言を許してしまった。 もう泉さんが傷付くのを見ていたくはない。 「み、湊くんッ?!」 「あ……」 「誰だ?お前は」 突然現れた俺を見詰める泉さん。 目を大きく見開きホヘッとした顔にクスッとなる。 こんな顔でも可愛いと思えるなんて……もぅ認めるしかないな。 よく見ると、箸が進まなかったのか彼女の料理は殆ど手付かずだった。そして彼女の潤んだ瞳に、もっと早く気付けば良かったと胸が苦しくなる。 今すぐ彼女を連れ去りたい気持ちを閉じ込め、先程とは違う笑みを張り付けると、親父さんに視線を合わせた。
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