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「御免なさいね。
これでも、この子達が"変わってる"ってバカにされてないか、いつも心配してるのよ?この人。あんな後じゃ理解できないでしょ。
……あのね、"天の邪鬼"なのよ、この人。
特にお酒が入ると気が大きくなって、憎まれ口ばっかりたたくのよね。いつも後になって後悔するんだから、止めればいいのに」
「・・・何ですかソレ……そんな事云っても相手に通じてなきゃ意味ないっすよ」
アレは『憎まれ口』なんて可愛いもんじゃねぇぞ。
アレは侮辱じゃねぇか。後悔してんだったら直せよ、その面倒臭い性格!
しかし後悔してるのは本当のようで。お袋さんに向かって吠えた。
「お前は余計なこと云うなっ!まったく……
……あ~……アレだ、その……今日は言い過ぎた。……悪かったな、馨……美絢子」
目をさ迷わせ、なんとか口にする。
そのボソボソッと呟いた言葉に、呆然としていた馨さんは目をパチクリさせ驚愕の声を上げた。
「え……うそッ?!アンタが謝るなんて……アタシ、初めて聞いたわっ!」
「う、煩いっ!もういいだろっ。帰るぞッ!」
自分の慣れない行動に気恥ずかしくなったのか。怒鳴りながらさっさとタクシーに乗り込む。
それを泉さんがいつもの笑顔で「大介おじさん元気でね」と手を振るのを親父さんがチラ見した。
・・・ホント、面倒臭い人だな・・・
馨さんと親父さんは又怒鳴り合ってるが、何処と無く馨さんの顔が楽しそうなのは気のせいにしておこう。
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