【其の9】空回りするオカン

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駅に着いた時には全身ビショ濡れだった。 スーツの裾から滴を落としながらキョロキョロと探す 「いた……」 何が嬉しいのか。 改札口の横でニコニコと立っている泉さんにホッとした。 俺を待つのがそんなに嬉しいのか?と思ったら頬が緩んだ。 駆け寄ろうとする俺に、後ろから声を掛けられ、"邪魔すんじゃねぇよっ!"と威嚇するつもりで振り返った。 「兄さんっ、湊兄さんってば!」 「あぁ?」 そこには1年ぶりに会う妹の宇美がいた。
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