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スッとした鼻と意思のはっきりした切れ長の眼。
高い位置で纏めた艶やかな黒髪。
身長が高く美人系の茜に、その着物はとても良く似合っていた。
茜は週末のみ"着物生活"、美絢子は普段から"着物生活"をしていて、ふたりとも着物で通勤している。
他の土地は"着物人口"が少ないから着物姿で歩いていると『今日、お祭りあった?』みたいに怪訝そうに見られるだろう。
でも、温泉街では浴衣姿の宿泊客や着物姿の芸者がいるからそれほど目立たずにいられる。
……否、それほど。ってだけでやっぱり着物姿の若い娘は注目されるがな。
美絢子は少し事情が違うのだが、お互い着物好きが高じてここ、卯月で働いている。
卯月の制服は"茶衣着"。所謂、着物風ユニフォームだ。
桜色に小花がちりばめた、華やかで可愛らしい柄。上下別のセパレートタイプなので着替えも簡単♪
がうたい文句の代物。
和スカートを巻き、法被の様な、袖口が細い上着を羽織り前を合わせ、帯の位置にぐるりと和エプロンを巻いて締める。
あっという間に着物風従業員の出来上がりだ。
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