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・・・やっぱり無理だ……可笑しくないか?・・・
湊は現状に着いていけず、自室のベッドに座り頭を抱えていた。
ふと、顔を上げ部屋をぐるりと見渡し、今度は深い溜め息。
足元にある物は、ボストンバックとコンビニの袋、圧縮袋に入ってるガチガチに硬くしたベニヤ板のような布団達。
そして、この部屋にあった物は、パイプベッドと小さなテーブル。
それだけ。
「……何もねぇじゃん……」
顔を歪めぼそりと呟くと、先程と違う心境でまた頭を抱えた。
与えられたばかりのこの部屋。
物が無くて当たり前なのだが。
ソレ以前に湊の物はもう何もかも、全てない。
どこにも。
・・・はぁ~……どぉすんだよ、これから……
もぉ泣きてぇよ…………・・・
コンコン♪
「湊くん片付いたぁ?開けるわよ」
返事を待たずにゆっくりとドアが開き、隙間からヒョッコと覗く顔。
「・・・」
「あらぁ~何もしてなかったのねぇ。まぁいいわ、リビングにいらっしゃい。あの子も着替えて待ってるわよ♪」
また湊の返事も聞かず、うふっ♪と笑うとドアを閉め遠ざかる、楽しげな足音。
「・・・」
・・・ぉぃ……おいおいっ!誰だ?お前は。さっき会った男か?実は女だったのか?
いや、アレは男だったぞ、男。うん。……男、だったよな?いや、女か?あれ?
ちょっと考えれば分かることだが、冷静になれずにパニック中の湊。
まぁ無理もない。今日の湊は災難続きだから。
何故かって?
それは色々あったけど、一番災難なのは
今日から湊は
断った見合い相手と
─────同居する─────
・・・どぉすんの?!・・・
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