【其の1】商工観光課のオカン

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真っ青な青空 風に揺れる笹の葉 苔むした庭石に白川砂利 控え目な池の錦鯉と池の回りには石菖(せきしょう)や千両などの下草 青々とした木々から落ちる何本もの光の筋 その木漏れ日を浴びて佇む、立ち姿の美しい着物姿の女性────── 原色のような、濃淡のはっきりした色は幾重にも重なり、まるで一枚の絵画 湊はその幻想的な風景に魅了された。 横長の10坪程度の坪庭が異世界のように感じて、暫し魅入ってしまったのだった。 「───くん、湊くん?どうした?ボウとして」 「ッ!スミマセン!いや、あの……」 珍しく動揺する湊。 いつからそこにいたのか。恭兵は湊が見ていた先を確認すると、ああ。と納得した。 「あの子は僕の姪だよ。駅北にある『泉呉服店』に嫁いだ姉の子なんだ。 今日は大女将に呼ばれてお茶会の手伝いに来てたんだよ」 「……お茶会だったんですか……」 また坪庭の方を眺める湊に、恭兵はクスリッと目を細めた。
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