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「ん?」空耳か?
「お茶、飲みますか?」
相変わらず猫耳フードは被ってるけど、小首を傾げて大きな瞳でじっと俺を見ていた。
無表情だけど話し掛けてくれた事が嬉しかった。
「あ、あぁ。そうだな、飲むかな……」
コクリと頷き、キッチンまでやって来た泉さん。
「全部この戸棚に入ってます。お茶葉はコレ。他にも紅茶とかコーヒーとか、色々あるから好きなもの飲んでいいです。
急須とお湯のみ。ハイど~ぞ。お湯はソコのポットにあるんで」
ひとつひとつ説明しながらカウンターに並べた。
「じゃあ、ごゆっくり。私、お風呂に入ってきます」
そう淡々と言って部屋から出て行ってしまった。
「・・・」
そりゃそーだ。
彼女の対応は間違っちゃいない。
当たり前に彼女が淹れてくれると思っただけ。
そう、俺の勘違い。
勝手に期待しただけ。
俺に心を開いてくれたと思ったんだ……
うわッ 何だ、この脱力感。すっげぇ疲れた…………
意気込んで来たら落ち込んで?
俺を喜ばせてからの肩透かし・・・
何やってんの?何振り回されてんの?俺。
マジでおかしいって。
ムキになる必要ないじゃん。俺らしくもない。
・・・そうだよ、色々ありすぎて調子が狂ってんだよ。
そうさ。冷静になれよ。
さっさと飯食って、寝酒にビールでも飲んで寝ちまえばいつもの調子に戻るって。
そうさ…………
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