【其の5】オカンの新生活スタート ━━湊視点━━

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「ん?」空耳か? 「お茶、飲みますか?」 相変わらず猫耳フードは被ってるけど、小首を傾げて大きな瞳でじっと俺を見ていた。 無表情だけど話し掛けてくれた事が嬉しかった。 「あ、あぁ。そうだな、飲むかな……」 コクリと頷き、キッチンまでやって来た泉さん。 「全部この戸棚に入ってます。お茶葉はコレ。他にも紅茶とかコーヒーとか、色々あるから好きなもの飲んでいいです。 急須とお湯のみ。ハイど~ぞ。お湯はソコのポットにあるんで」 ひとつひとつ説明しながらカウンターに並べた。 「じゃあ、ごゆっくり。私、お風呂に入ってきます」 そう淡々と言って部屋から出て行ってしまった。 「・・・」 そりゃそーだ。 彼女の対応は間違っちゃいない。 当たり前に彼女が淹れてくれると思っただけ。 そう、俺の勘違い。 勝手に期待しただけ。 俺に心を開いてくれたと思ったんだ…… うわッ 何だ、この脱力感。すっげぇ疲れた………… 意気込んで来たら落ち込んで? 俺を喜ばせてからの肩透かし・・・ 何やってんの?何振り回されてんの?俺。 マジでおかしいって。 ムキになる必要ないじゃん。俺らしくもない。 ・・・そうだよ、色々ありすぎて調子が狂ってんだよ。 そうさ。冷静になれよ。 さっさと飯食って、寝酒にビールでも飲んで寝ちまえばいつもの調子に戻るって。 そうさ…………
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