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飯を食い終わりゴミを捨てようとキッチンに行き、ふと目に入ったモノ。
それは、シンクの水垢
キレイに整頓され汚れも殆どない。
それでも汚れるところは汚れる。
そして、気になるものは気になる。
徐にシンクの下を開けると……
「あった」
掃除道具一式
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「……何してるんですか?」
「ぅわっ!い、泉さん?!」
いつから居たのか。
上気した肌とまだ濡れたままの頭にタオルを被せた状態で、虎猫キグルミを着た泉さんがじっと見ていた。
「いや、あの……しゅ、趣味?」
「・・・鍋を磨くのが?」
「・・・」だよね。ムリがある
泉さんの思いっきり歪んだ眉
そりゃそ~なるわな・・・
俺は昔から色んなストレスが限界まで溜まると、ソレをぶつけるように掃除を始めてしまう。
ほぼ無意識に
綺麗になるとスッキリするだろ?
解決するわけじゃないけど、気持ちがスッキリして次へと進められるんだ。
いや、それはどうでも良くて。
他人が知らない間に掃除してたら気分悪いじゃん。
だからってあんなセリフはおかしい。
趣味が鍋磨きって。なんじゃそらっ。
厳つい30男がピンクのビニール手袋はめて中腰で。楽しそうに一心不乱で鍋を磨く・・・うわぁ──……
ほらみろ。カウンターキッチンの向こうから訝しげに見ていた泉さんが、俯いてプルプル震え出したじゃねぇか。どー収拾すんだよっ。
「プフッ」
え?
「コホッ・・・邪魔しないんで思う存分頑張って下さい。でゎ」
俯いたまま眼も合わせずに、ペコリとお辞儀して出ていった
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