【其の5】オカンの新生活スタート ━━湊視点━━

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飯を食い終わりゴミを捨てようとキッチンに行き、ふと目に入ったモノ。 それは、シンクの水垢 キレイに整頓され汚れも殆どない。 それでも汚れるところは汚れる。 そして、気になるものは気になる。 徐にシンクの下を開けると…… 「あった」 掃除道具一式 ─────────────────── ─────────────── ────────── ───── 「……何してるんですか?」 「ぅわっ!い、泉さん?!」 いつから居たのか。 上気した肌とまだ濡れたままの頭にタオルを被せた状態で、虎猫キグルミを着た泉さんがじっと見ていた。 「いや、あの……しゅ、趣味?」 「・・・鍋を磨くのが?」 「・・・」だよね。ムリがある 泉さんの思いっきり歪んだ眉 そりゃそ~なるわな・・・ 俺は昔から色んなストレスが限界まで溜まると、ソレをぶつけるように掃除を始めてしまう。 ほぼ無意識に 綺麗になるとスッキリするだろ? 解決するわけじゃないけど、気持ちがスッキリして次へと進められるんだ。 いや、それはどうでも良くて。 他人が知らない間に掃除してたら気分悪いじゃん。 だからってあんなセリフはおかしい。 趣味が鍋磨きって。なんじゃそらっ。 (いか)つい30男がピンクのビニール手袋はめて中腰で。楽しそうに一心不乱で鍋を磨く・・・うわぁ──…… ほらみろ。カウンターキッチンの向こうから訝しげに見ていた泉さんが、俯いてプルプル震え出したじゃねぇか。どー収拾すんだよっ。 「プフッ」 え? 「コホッ・・・邪魔しないんで思う存分頑張って下さい。でゎ」 俯いたまま眼も合わせずに、ペコリとお辞儀して出ていった
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