【其の5】オカンの新生活スタート ━━湊視点━━

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テーブルにはチーズやサラミ、所謂ワインに合うつまみが並んでる。 ソファーに腰掛けた馨さんはワインを飲みながら聞いてきた。 「ホントに飲まないの?」 「後で買い物に行きたいんで」 荷物を積むため車で移動するから飲酒運転はしたくない。 それに俺は寝起きなんだ。飲むならコーヒーか渋いお茶がいい。 「俺はコレ、食べながら付き合いますよ」 昨日ついでに買った朝食用サンドイッチとインスタントコーヒーを見せた。 はぁ~、挽き立てコーヒー飲みてぇな…… 散々悩んで選んで買った全自動のコーヒーメーカー。 気に入ってたのになぁ……燃えたものはしょうがない。電気屋覗いてみるか…… 頭の中で、今日の買い物リストに加えた 「──のよ、河合さんが」 「河合って、河合課長?」 「そうよ。湊くんの事、宜しくお願いします。って。良い上司ね」 ニヤリと口角を上げた馨さん。小指を立てて摘まんだポテチをパクリ。指に付いた塩を舐め取りワインを一口。御機嫌の御様子。 それにしても河合課長、店に行ったんだ。 昨日も仕事中だって云うのに心配してアパートまで来てくれたし。 俺を心配してくれる気持ちが素直に嬉しかった。 ・・・なのに・・・ 「湊くん、"オカン"なんだって?」 「は?」 悪いニンマリ顔の馨さんから、呪いの呪文を掛けられたかのようにピタリと硬直した。 何故ソレを・・・いや、まさかヤツが・・・
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