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テーブルにはチーズやサラミ、所謂ワインに合うつまみが並んでる。
ソファーに腰掛けた馨さんはワインを飲みながら聞いてきた。
「ホントに飲まないの?」
「後で買い物に行きたいんで」
荷物を積むため車で移動するから飲酒運転はしたくない。
それに俺は寝起きなんだ。飲むならコーヒーか渋いお茶がいい。
「俺はコレ、食べながら付き合いますよ」
昨日ついでに買った朝食用サンドイッチとインスタントコーヒーを見せた。
はぁ~、挽き立てコーヒー飲みてぇな……
散々悩んで選んで買った全自動のコーヒーメーカー。
気に入ってたのになぁ……燃えたものはしょうがない。電気屋覗いてみるか……
頭の中で、今日の買い物リストに加えた
「──のよ、河合さんが」
「河合って、河合課長?」
「そうよ。湊くんの事、宜しくお願いします。って。良い上司ね」
ニヤリと口角を上げた馨さん。小指を立てて摘まんだポテチをパクリ。指に付いた塩を舐め取りワインを一口。御機嫌の御様子。
それにしても河合課長、店に行ったんだ。
昨日も仕事中だって云うのに心配してアパートまで来てくれたし。
俺を心配してくれる気持ちが素直に嬉しかった。
・・・なのに・・・
「湊くん、"オカン"なんだって?」
「は?」
悪いニンマリ顔の馨さんから、呪いの呪文を掛けられたかのようにピタリと硬直した。
何故ソレを・・・いや、まさかヤツが・・・
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