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「ん~…………
アタシ、姉が3人いるの。でも父は男の子が欲しくて。アタシが生まれた時、待望の男の子だ!って喜んだんだけど、可哀想にその翌年から単身赴任で海外暮らしよ。
それから女4人に囲まれて育ったんだけど、アタシ、小さい頃から大人しくて可愛かったの」
「・・・はい?」
目が点になり食後のコーヒーを持つ手が止まる。
まぁ確かに馨さんはキレー系だから子供の頃もそうだろう。でも、自分で言うか?
「フフ。母と姉達は可愛い妹が欲しかったみたいで父が居ないのを良いことに、アタシに女の子の服を着せて着飾ったのよ。
おかげでアタシ、小さい頃は女だと思ってたくらい。うふふ♪だってそこら辺の女の子よりアタシの方が可愛かったもの」
・・・ほほ~…………それって男として喜ぶ事か?
全く共感出来んッ!
俺の心の声が聞こえたのか。それとも何かを思い出したのか、馨さんは突然クスクス笑い出した
「父が日本に戻ってきたのは小4の時かしら。オンナのコ姿で生活するアタシを見て発狂しちゃったの」
あ───……発狂したくなる気持ち、俺もわかる。
男らしく育って欲しかったんだろ?
可笑しそうにクスクス笑う馨さんを見て「可哀想に」と馨さんのお父さんを心の底から同情してしまった。
「小学生になればわかるだろ、自分が男って。まさかスカートで学校行ってないよな?」
いつの間にか敬語も取れてしまった
「やぁねぇ。わかるわよ、そんなの。
年に1~2回帰国する父にバレないようにショートボブだったし、女の子の服を着ててもスカートは履かなかったもの」
当たり前じゃなぁい♪とコロコロ笑った。
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