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「それっからが大変よぉ。女の子が好きな可愛らしい物はすべて没収されちゃったわ。
しかも男らしい服を着ろ。髪は坊主で野球かサッカーをやれ。って強制。
アタシの部屋に少しでも可愛らしい物があるとめちゃくちゃ怒るの。怖かったわぁ」
へぇ~ちょっと意外
10年間仕事で会えないからしょうがないとは云え、好きなようにさせる"甘い父親"と云うイメージだったのに。実は厳しい父親だったとは。
「えらく極端だな。それでその通りにしたのか?」
「母と姉達が反対したけど、ダメよ。逆に説教されて終わり。
あ、スポーツは剣道で許してもらったわ。だって屋外のスポーツなんてやったら日焼けしてシミになっちゃう」
「で、坊主?」
「それは皆で頼み込んでやっと譲歩してくれたけど、沢山条件が付けられたわ。思い出しても腹が立つぐらい。
そうねぇ……湊くん位の短髪よ」
「・・・アタシね、それまで口調は普通だったのよ。
でもダメね。『アレもダメ』『コレもダメ』『男らしくしろ』男・男・男・・・中1の時、とうとう爆発しちゃったわ」
そうだろう。誰だってキレるぞ、それは。
だって、それまで好き勝手やって来た人間が押さえ付けられ正反対の生活をするのは相当なストレスだよ。
しかも中1って事は2年間か。子供が2年間も、よく耐えたと思うよ。馨さんの忍耐力すげぇな
「姉達にウィッグと服を借りて、メイクもしてもらってね。思いっきり女になりきって遊びに行ったのよ、和輝と」
「和輝?」誰だ?
「私のお兄ちゃんだよ」
「うわっ?!」
「あら、いつからいたの?」
いつのからそこで聞いてたのか。泉さんがコタツで座っていた。
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