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「え?な、何ッ!?」
「・・・何ってミネラルウォーターですけど」
間接照明が灯された薄暗い室内でペットボトルを持った泉さんが俺の顔を覗き込んでいた。
周りを見ると壁には可愛らしい飾り棚や着物がぶら下がってる。どう見ても俺の部屋じゃない…………
「は?・・・泉さん?え?ここ……」
「はい。私の部屋です」
「スマンッ!」
淡々と話す泉さんに一気に酔いが覚めた。
「あッ!」
頭は覚めても体は酔ったまま。
案の定、よろけてローベッドから滑り落ちた。
「プフッ。・・・大丈夫ですか?手、貸しましょうか?」
思いっきり顔面を打ってしまった・・・
「いや、大丈夫……気にしないでくれ……」
赤面してるだろう顔を見られたくなくて、そそくさと自分の部屋に入るとそのままベッドで項垂れた。
焦った!なんで泉さんの部屋で寝てたんだ?!
大将の店で、腹立ち紛れに杉山のダメ出ししながら飲んでたのは覚えてる。けど……いつ帰ってきたのかもわからない
記憶が無くなるまで飲むなんて、学生の頃以来だ。
頭を掻きながらチラリと時計を見た。
はぁ~…………1時過ぎかぁ。
こんな時間まで泉さん何処にいたんだ?
まさか寝てる彼女に抱き付いたりしてないのなっ?!
そんな事してないとは思うけど、もしかして。と考えるとゾッとして自己嫌悪に陥った。
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