金蚕蠱

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金蚕蠱

 マンションの屋上から飛び降りたのは同級生の加藤だった。木嶋と一緒にコイツを可愛がっていた。  牛乳にゴキブリ入れたり、トイレに入ったときに水をぶっかけたり。だけど、おかしいな?加藤は中学3年の秋に首吊り自殺を図っていたはずだ。  まぁ、いい。呪いの力を持つ工匠厭魅も、事前に察知をして燃やせば仕掛けた本人を殺すことが出来る。  加藤の家は渋川市にあった。床下からミイラ化した彼の両親が見つかった。 「ひでぇことしやがるぜ、ゲボゲボ」  木嶋は胃の内容物を撒き散らした。  刑事だってのにだらしないな?ミイラなんてどうってことないだろ?  さらに、彼の部屋からは蚕が見つかった。  ケージの中でモゾモゾと蠢いている。  しかも黄金色にピカピカ輝いている。 「スーパーサイヤ人みたいだな?」  木嶋がくだらないことを言った。 「キンサンコだ」 「キンコンカン?」 「わざとやってんだろ?」 「分かった?」  金蚕蠱…………食錦虫類の一種だ。 「コイツの糞を食べ物に入れて標的に食べさせると 、どうなると思う?」 「腹を壊して食中毒になる」 「食中毒ねぇ?木嶋くん、ゲリシャスってレストラン知ってます?」 「腹壊しそうだな?」 「標的が死んで、標的の持ってた財産も仕込んだ犯人に渡るんでっせ?」 「急に話を戻すなよ?」 「木嶋くんの話長いんだもん」 「自分から聞いてきたんだろ?」  木嶋は金蚕蠱をライターで焼き殺そうとしたがビクともしなかった。ゲージの中に水を注ぎ込んで溺死させようとしたがダメだった。  まな板にのせて庖丁で叩き切ろうとしたが頑丈で切れない。 「何だよ?死なねぇぞ?」 「金蚕蠱を殺すことは出来ないんだ」 「マジで?」 「別れることは出きる」 「どうやって?」 「高級品と一緒に箱に入れて道に捨て、誰かに拾われればクリアだ」 「波多野ってどうして魔術に詳しいんだ?」 「大学のときにホロイワって教授に虐められてね?復讐しようとしたら、両親を殺された。奴を倒すために勉強したんだ?」  せっかく説明してんのにケータイで遊んでやがる。 「あっ、ゴメンゴメン」 「何で遊んでんの?」 「リバーシ」  派遣社員はボーナスもなくて大変だ。僕は金蚕蠱を買うことにした。  木嶋をボコボコに殴り、衰弱したところでカップラーメンに糞を入れて食べさせた。ビクビク痙攣して死んだ。
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