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プラモデル
川本綾は古着風のダメージデニムにとんがりパンプス、レースの肩見せトップスってゆーヤンチャっぽいスタイルをしていた。
「ワタシってプラモデルなのよねぇ」
「プラモデル?」
「プラプラしてるモデルのこと」
「BANDAIにでも転職すりゃいいじゃん?」
「ガンダムとか操縦しちゃおうかな?」
「オタクとかキライだろ?女=オタクは嫌い」
「うん、キライ」
「そんなにハッキリゆーなよ?」
「オタクなんかい?」
オタク難解。おたく難解。君は難解。
「うちは、うん難解。僕、頭悪い」
「それで探偵つとまんの?」
「え?何で僕が探偵だって知ってるの?」
「ブログで探偵してるっしょ?」
「え?見たの?『フラッグ探偵事務所』だっけ?目が悪い人が見たら『ブラック探偵事務所』やで?」
ハタノなんてノータリンには読めないだろうし?ウェーブ探偵事務所なんてありそうな名前だ。
旗野に改名しようかな?
2017・4・20
「アナタの余命はあとわずかかも知れませんね?」
代官ドクターは腕のいいドクターだ。
代官直之、祖先はお代官様様。
藤津株式会社の松葉喜美子は絶望の淵に立たされた。来春には孫も生まれる。
「何で私が?」
「我々も全力を尽くします。あきらめずに頑張りましょう?」
SMAPの歌をノリノリで歌ってる。
この男、ワタシを馬鹿にしているのか?
悲しみのあまりからか喜美子は涙をボロボロ溢した。
「あの事故はワタシのせいじゃない」
そう言って立ち上がり、ヨロヨロと出ていった。
白いカーテンが開いて白衣に包まれた波多野が現れた。
アレは怪しいかも知れないなぁ。
この病院の闇を俺は知っている。
代官とは運命共同体だ。
「人間ってさ?絶望に落ちると前が見えなくなるじゃん?そうするとボロが出るよね?」
「波多野って血も涙もないの?」
「失礼だな?それじゃあ化け物じゃないか?涙ぐらい流しますわよ」
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