ドウカティ

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ドウカティ

 2017・4・18 木嶋の財産を手に入れ僕は少しだけ金持ちになった。イタリア製のバイク、ドウカティも買った。ドウカティ・メカニカ社が1966年に世に出した赤いフォルムのバイクだ。  ドウカティで毎朝、渋川市にある卵工場に働きに出かける。依頼のないときは派遣てして働いている。  黄金の蚕を手に入れたのはいいが毎年1人は殺さないといけないってゆー誓約が出来てしまった。今年は木嶋を殺したからいいけど、来年までに標的を絞らないといけない。  直立の単気筒250ccが工場街に入る。  煙突から煤煙が立ち上っている。  自慢のOHCエンジンだ。  キプティットって看板が見えてきた。  退屈な時間のはじまりだ。  ドウカティを停めて恋人にLINEをしてると、目玉の大きなデメキンみたいな男が近づいてきた。 「あっ、あの?キプティットってこちらでいいんですよね?」 「そうですけど?あなたは?」 「裏の巣から来ました赤城っていいます」 「工場の裏手に巣なんてありましたっけ?」  赤城が苦笑している。  何がおかしいんだ?おかしいのはアンタの顔だ。赤城なんてミスマッチな名前だ。 「僕は熊ですか?ウラノスって派遣会社から来たんです」  ウラノス、赤城。と、脳内メモにつけた。 「あぁ、確か天王星のことでしたよね?ウラノスって。あなたも派遣なんですか?」  まさか木嶋のことがもうバレてるとか?   多分大丈夫だ。木嶋の死体は加藤の家にある。  疑われるのは加藤の親戚だ。 「えっ、ええまぁ。テンプスタッフから来てます」  
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