ウラノス

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ウラノス

「おまえ何でそんなことを?」 「被害者支援団体の者です」 「ウラノスってのは派遣会社じゃないのか?」 「ええ、派遣ですよ」 「ケアならもう十分だ」 「そうですか?イロイロお辛かったでしょう?」 「やめてくれないか?もう、忘れようとしていたところなんだ」 「アナタが犯罪被害者だって社員に言いふらしましょうか?」  最低な野郎だ。 「人権侵害だろ!?」 「アナタって人だったんですね?」  気づくと俺は工場近くにあるコンビニにいた。  あの赤城って奴の目はヒドク暗かった。  あれは妄想だったのだろうか?  ウラノスなんて本当にあるのだろうか?  俺を追い出そうとしてるんじゃないか!?  人の弱味に漬け込んで金を脅し取ろうって魂胆か!?  ドウカティを駆って夜の街をdriveした。  昨日までなんともなかったこの工場が悪魔の棲む城のように思えた。 「あれ?波多野くんじゃない?」  道の駅で夜食でも食べようとしてると女が近づいてきた。 「川本さんじゃないか?」  高校時代の友達だ。  川本綾、身長は180はある。そりゃそうだバスケ部でセンターをしていたんだ。  ライトアップされた観覧車が見える。  綾のブロックショットはナカナカだった。 「バイクなんて乗れるんだ?」 「あっ、うん」  俺はスモールフォワードだった。リバウンドだとか速攻などが求められる。 「イロイロ大変だったね?」 「うん、まぁね?」 『ダメだよ蚕のウンチなんか食べさせちゃ?』なんて言われるんじゃ? 「アーキム目指してたあの頃が懐かしいな?」  34番、永久欠番。マイケル・ジョーダンとライバルだったブロックショットの名手だ。 「そうだね」
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