01-01 強い力には犠牲がつきものだよね。

2/59
6人が本棚に入れています
本棚に追加
/71ページ
 ……もう、なんか、名前から恥ずかしい。救世主と書いてアンチテーゼと読んでるあたり、このときの俺の厨二病具合が窺える。今でも好きだけどな! 「まあ、でも、一応……50万PVなんだよなぁ」  PV――作品ページ閲覧数のことで、遊園地の来園者数のようなもの――はその作品のサイト内での人気を図る指標になる。多ければランキングが上がるし、ランキングが上がればさらに読者がついて、という仕組みだ。  この『アンチテーゼ(笑)』はサイト内『ライトノベルカテゴリーランキング』で最高一位、『総合ランキング』で十位を記録した。言ってみれば、俺の代表作。ちなみに、幻の前作はランキングなんて夢のまた夢、消した時点での累計PVは確か2000とかそのくらいだった。  二年間の毎日更新で累計50万PVを記録したこの作品を完結させた後、燃え尽きた俺は二年間オリジナル新作を書くことはなく今に至る。 「……でも、やっぱ面白ぇなぁ」  無事に黒歴史と化したわけだが、そもそも俺は俺の読みたいものを書いてたので、読めばやっぱり面白い。恥ずかしさこそあれど、読者の誰よりもこの作品を面白いと思っている自信があるし、誰より感情移入が出来て、そして、誰よりもキャラクターを愛している。  それゆえか、作品の(つたな)さへの理解も人一倍だ。     
/71ページ

最初のコメントを投稿しよう!