6人が本棚に入れています
本棚に追加
商売よりも物々交換、助け合いの精神で生きているためか、店はない。
まるで田舎の村だ。
元々あった都市を使っているので、見た目はそこそこの街並みだが、一人一軒あんじゃねーのってくらい閑散としている。
「いや、住居は……纏まってるんだったか」
「解。人口が少ないため、住民は各地区で固まって過ごしています。意図的に離れている者もいますが、郊外は――」
もう指摘すんのも面倒になって、ソフィーの言葉を聞き流しながら歩いていると、唐突に叫び声がそれを遮る。
声の方向――路地裏へ目を向けると、少女がブロンドを跳ねさせて全速力で走ってくる。背後には猪に似た魔獣。
「……そんなのもあったな」
つい言葉を漏らしてしまう。
なんて分かりやすいイベントだろう。
こういうのをボーイ・ミーツ・ガールと呼ぶのだろうか。
いや、でももうソフィーと出会ってるしな。
「そこの人ーっ! 逃げてーっ!」
叫びを無視して、腰にぶら下げていた剣を抜く。
「倒せるな」
「解。雷撃猪は低級の魔獣です。無差別放電に注意し、一撃で首を落とせば問題ないでしょう」
魔獣との戦闘はここに着くまでにも何度かあったし本当に問題ないだろう。
本来は逃げるはずだが、走るのも億劫だし、ここで倒すか。
最初のコメントを投稿しよう!