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少女が伸ばして来た手を避け、続いて突進してくるライトニングボアの進行方向から身体をずらす。
剣を逆手に持って、下から首に向けて振り上げた。
確かな手応え。
間もなく宙に抜けた剣を振って血を払い、鞘に納める。
ずざぁっと頭を失った身体が勢いのままに地面を滑って、立ち止まってこちらを振り向いていた少女にぶつかった。
「あ」
地面との摩擦で勢いが死んでいたとは言え、それなりの運動エネルギーを残したままの衝突。
少女は容易く吹き飛ばされて尻餅をついた。
慌てて駆け寄ると、彼女はゆっくりと上半身を起こす。
首の断面がぶつかったせいで血塗れだった。
うわ、臭ぇ……。
「あれ……雷撃猪?」
首を傾げると、きょろきょろと辺りを見回してほっと息を吐く。
「だ、大丈夫か……?」
「あ、うん。ありがとう……」
手を差し伸べると、彼女は警戒なくその手を掴んで立ち上がる。
そしてぐいっと顔を寄せてきたかと思えば、じぃっと食い入るように見つめてくる。
なんだこいつ……いや、知ってるけどね。
なんだこいつ。
「……見ない顔ね?」
「さっき来たばっかだからな。つーか、近えよ、……あと臭い」
正直、本当に臭かった。
思わず口もとが引き攣るくらいには血生臭い。
「臭っ……!?」
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