01-00 プロローグ

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 しっしっと手で遠ざかるようジェスチャーすると、彼女はよろよろと後ずさる。  顔は整ってるのに、初対面での印象が血生臭いとか……。  容姿によるプラスが全て帳消しになっていた。 「そ……そんなに、臭いかなぁ?」  泣きそうな顔で訊ねてくる。  一瞬、配慮しようと思って近づいたが、やっぱり無理だった。  顔を背けると、今度はソフィーに縋るように視線を送る。 「解。臭いです」 「そんなぁっ!」  びしゃり、血溜まりに膝をつく。  うわぁ、悪化した。  馬鹿なのかこいつ……ああ、そういや馬鹿だったわ。 「はぁ……悪かった。起きろよ、アメリア」  悪臭を堪えつつ改めて手を差し出す。  涙を浮かべた彼女――アメリア・アルトドルファーはびくびくしながらそっと手を重ねた。  その手をぎゅっと握り、引っ張り上げる。 「……臭くない?」 「臭いが、まあ、俺のせいであるとも言えるし、我慢してやる……」  我慢出来てんのか分からん。  アメリアの顔を見れば、地味に傷ついていた。  出来てませんね、これ。  思いっきり顔に出てるだろう。 「……あれ? なんで名前……」 「あー……アレだよ、『相手の名前が分かる能力』」 「へぇー! そんな能力があるのね!」  あっれー、信じちゃったよ。  そんな使えねー能力あるわけねぇだろ。     
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