カガミ

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『ねえ、お願いがあるの』 向かい合い、あなたの頬に手を添えて、私と同じ顔を覗きこみ、掠れる声をあなたの小さな耳へと届ける私に、あなたは小首を傾げて目を丸くする。 どこか期待に溢れた煌めきを含む瞳を揺らめかせ、あなたに似た音に耳を傾けてくる。 あなたはあなたが好きなのね。 私はあなたと同じ(かたち)をしているもの。 『わたしはワタシ……ワタシになりたい』 あなたの瞳に絶望を…… あなたの目が嫌いなの。 あなたの唇が嫌いなの。 あなたのその姿が嫌いなのよ。 あなたと同じ顔をした私が嫌いなの。
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