1話

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いつもはカラスと鳩がなんで仲悪いのかな?とかポテチは何味派?とかのほほんとした話なのに……。 俺は動揺を見せないようにいつも通りの感じで、分からない、と答えると彼女は顎に手を当てて、 「やっぱり私はうんち味のカレーだと思うんだよね」 やっぱり体裁を気にするという面でそういう事なのかな?と当たりをつけながらも、どうして?と定型文で返す。 「だって、カレー味は私は知ってるけど、ウンチ味はまだ知らないから、美味しかったらいいなー、って」 一瞬何言ってんだこいつ、と思ってしまうような言葉でも、よくよく考えると、妙に納得できるセリフだった。 そんな彼女に、俺はそんなこと言ったら引かれるんじゃない?と冗談気味に返す。 「だって、知らないのに決めつけちゃうのはちょっとダメだと思うからね」 ふーん、と頷く俺に、彼女は付け加えて、 「知りもしない人のことをどうこう言うのはダメ、ってのと同じもんだと思うんだけどね」 と言った。 彼女はトンチンカンなことや、深いっぽい言葉を話す。 そんな彼女は誰よりも自分を知っていて、誰よりも人間を知っていて、誰よりも大人なんだな、と俺はそんな考える。 俺はそんな彼女にすごいね、と月並みな一言告げると、教室には、三人目の生徒が入ってきて、 「コノイさん、おはよー」 と声をかける。     
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