2話

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2話

「教えよっかー?」 現代国語の授業。 前髪の後退が気になっているであろう教師の授業は、今流行りのアクティブラーニングで、よく隣と話し合いをさせられる。 俺は現代国語がいちばん苦手な科目である。 すごいみっともないことを言うけど、現代国語はやる意味を感じないからだ。 だって、昔の偉人の小説や、考察のしがいがある文章を読んで、それを問題にするという行為が、少し気に入らないからだ。 言葉は千差万別で、そこに深読みをする意味が無いと思うからだ。 もしかしたら、あの有名な太宰治は、たくさんの考察がなされているが、本人は雑に書いただけかもしれない。 …………つまり、作者が意図して書いているか分からないものを、他人がとやかく言うのが気に入らない。 ……と、現実逃避をするが、苦手なものは苦手なわけで、 「教えよっかー?」 コノイさんのこの現状ができているわけである。 コノイさんは頭が良くて、とくに現代国語の成績は学年で一桁レベル、全国模試では2桁常連というのだ。……何が大変なのかはツッコミをしないで欲しいが、つまりコノイさんの得意教科は現代国語なわけで、今の時間は俺が隣で悪戦苦闘していて、コノイさんは暇を持て余した結果、教えてあげよう、と言うふうになっている。 俺は教わりたいと思うが、別につまづいているわけではなく、単純に苦手だから遅いのだ。 ……言い訳じゃないぞ……。 それで、遅いだけだし、ここはテスト範囲にもなるので、やっておきたい所である。 だから俺はコノイさんに現代国語の成績がいいなら察してよね、と言うと、 「んー、どゆこと?」 と可愛らしく聞いてきた。 それに思わず停止してしまいそうになるが、慌てて顔を振って現実に戻り、ここはテスト範囲だから自分で勉強したいの、と言う。 「んー」 なに?そんな教えたかったの? と俺は少し仏頂面をするコノイさんに問いかける。 すると、コノイさんは首を横に振って、 「いんや、現代国語の成績が良いからって人の考えてる事はわからないんだぞ」 そのまま、コノイさんは俺の方に近づき、俺の瞳をじっと見ながら、 「もしね、君のその瞳の中に、文章がいっぱい詰まっているなら、分かるんだけどね」 ……なんかこういう言い回しとかが現代国語の成績が優秀な面が現れているんだよなぁ、と思う。 コノイさんは現代国語の成績がすごい。
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