#4 凛とした空の下

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 秋は空が高くなる。綿菓子が千切れた様な雲が、ぷかりと浮かんでいる。秋の空は色が幾分か、優しくなる。夏の強く濃い青とは、少し違う澄み切った水色に変化していく。冬に向け、山々も徐々に秋めいてくる。紅葉した木々、果実をつける木々、山の様子も随分変わってくる。越冬を前に、生き物達は支度をせねばならない。それは、山に住まう動物も町に住まう人間も、同じ事だ。  秋雨前線がなくなり、漸く晴れ間が見えてきた頃秋が来たと実感する。秋雨の前後では、気温も空模様もガラリと変わるからだ。大きく深呼吸をする。少し冷えた空気で肺が満たされる。何処に咲いているのか、金木犀の香りがする。そして、空を見上げる。相変わらず、空は高い。冬に向けて凛と澄んでいく空を、ただただ毎日見上げるばかりである。
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